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嫌気性芽胞形成菌(クロストリジウム属菌)について
![]() 一般財団法人 食品分析開発センター SUNATEC
微生物検査室 稲垣暢哉 今月号は、前月号で衛生指標菌の中でも安全性を評価する指標菌として紹介した嫌気性芽胞形成菌について説明します。
1.クロストリジウム属菌とは?クロストリジウム属菌は、偏性嫌気性の芽胞を形成するグラム陽性の桿菌です。つまり、酸素が全くない嫌気的条件下でのみ発育することが可能な菌です。また、芽胞の形成とは、高温、凍結、乾燥、酸、アルカリ、紫外線、放射線、殺菌剤等のストレスに対して強い抵抗性を持つ胞子(芽胞)を形成する細菌のことです。したがって、食品の品質及び安全性を守る上で様々なストレスに対して抵抗性を有する芽胞を形成する菌が問題となることがあります。芽胞を形成する菌として、バチルス属菌も有名ですがこの菌は、クロストリジウム属菌と異なり酸素がある(好気性)条件下で発育することが可能です。
2.食品とクロストリジウム属菌食品でのクロストリジウム属菌の発芽を促す代表的な環境条件は、主に2つが挙げられます。
3.検査目的クロストリジウム属菌は、土壌、海や湖底の泥、ヒトや動物の消化管など自然界に広く分布しており食品への汚染の可能性が高い細菌です。この中でも、食肉や魚介類などの食品で汚染されることが多いため、これらの食品は特に注意が必要です。
4.検査方法今回は、食品衛生検査指針、一般食品の試験法の概略を説明します。検査対象となる食品(検体)を25g秤量し、希釈液を加え検体の試料原液(10倍希釈液)を作成します。検体が未加熱の食品である場合、試料原液を70℃で20分間加熱処理を行います。加熱済みの食品の場合は加熱処理の必要はありません。必要に応じて、試料原液から10倍段階希釈を繰り返します。各段階の希釈液10mlを2枚の嫌気性パウチに分注し、クロストリジウム属菌測定用培地15mlを加えよく混合します。培地中の気泡を抜き、パウチの首の部分をポリシーラで溶封し冷却凝固させます。パウチ内は嫌気状態となるので、パウチそのものは好気的条件下で35.0±1.0℃で24±2時間培養します。また、希釈水10mlを対照として同様の検査を行うことで、パウチ、希釈水および培地が問題ないことを確認します。
5.結果の解釈食肉製品の場合、クロストリジウム属菌の規格基準がありますので遵守する必要があります。また、食品中のクロストリジウム属菌数が多い場合、生菌数と同様、製造の過程で衛生的かつ適切な取扱いがなされていないことが示唆されます。加熱加工後の製品中に本属菌が多量に確認された場合、原料が汚染されていた可能性が推測され、このような場合はウェルシュ菌や、ボツリヌス菌の存在も疑われます。したがって、クロストリジウム属菌数が多い場合、ウェルシュ菌やボツリヌス菌を特定する食中毒菌の検査を別途実施することをお薦めいたします。
参考文献食食品衛生検査指針 微生物編 2004 (社団法人 日本食品衛生協会)
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