タウリンは、動物のほとんど全ての組織に遊離の状態で存在している。植物に含まれている量は僅かであり、マグロやブリの血合い肉、貝類などの魚介類や、イカ、タコといった軟体動物に多く含まれている。人間には体重の0.1%のタウリンがあるといわれ、心臓、肺、肝臓、脳、骨髄など、さまざまな臓器や組織に含まれるため、生命の維持に必要な成分と考えられている1)。タウリンの構造式を図1に示す。
タウリンは生体内で、メチオニンやシステインなどの含硫アミノ酸から合成されるが、その合成能は動物種により大きな差があり、マウス、ラットなどのげっ歯類はタウリン合成能が高く、ヒトやサルは低く、ネコは極めて低い。ネコはタウリン要求性が高く、エサからのタウリン補給が必須であり、タウリン欠乏状態になると、眼や心臓に異常を引き起こすことが知られている。そのため、市販のキャットフードには合成タウリンが添加されている2)。