カルシウム(calcium)は、原子番号20、元素記号Ca、アルカリ土類金属の一つである。ヒトの体重の1~2%を占め、そのうち99%は骨及び歯に存在し、骨の主要構成要素の一つである。組織内には微量しか存在しないが、細胞の多くの働きや活性化に必須の成分である。また、カルシウムは、血液の凝固に関与しており、血漿中の濃度は一定に保たれている。成長期にカルシウムが不足すると成長が抑制され、成長後不足すると骨がもろくなるため全てのヒトにおいて必須性が認められているミネラルの一種である1)。
2015年に施行された食品表示法において、カルシウムは、栄養成分表示の義務項目には設定されていないため、商品のパッケージに表示する義務はない。ただし、カルシウムが豊富に含まれている旨や他の商品に比べて多い旨など、カルシウムについて強調して表示する場合(強調表示)は、必ず分析値を表記する必要がある。強調表示は、分析によって得られた値を表記する必要があり、その際には、成分毎に定められた基準を満たしていることが重要となる2)、3)。上記のように、カルシウムは、栄養成分表示の義務項目ではないが、我々がよく目にする感覚を抱くのは、強調表示によるものが多い。
また、消費者庁のWebサイトで公開されている「平成30年度食品表示に関する消費者意向調査報告書 設問36.「あなたが必ず表示(義務表示に)してほしい、栄養成分名をお答えください。」では、全体の9番目と食物繊維の次に関心が高い栄養成分であることがわかる。また、ミネラル成分の中ではナトリウムに次いで2番目であり、特に高齢女性に注目されている4)。