ポリフェノールの検査方法について

一般財団法人 食品分析開発センターSUNATEC

第一理化学検査室

1.はじめに

ポリフェノールとは、分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物の総称で、5000種類以上あるといわれている。
  食品中のポリフェノールは、味や色、香りなどの嗜好性に関与する成分とされており、茶のカテキン類、チョコレートやココアのカカオポリフェノール、果実や野菜のアントシアニン系色素などが有名である。近年では生体内での抗酸化作用をはじめとした機能性に関与する成分として注目されている。

2.ポリフェノールの検査方法について

食品には多種多様なポリフェノールが含まれており、個々に測定し評価することが可能なものもあるが、今回はポリフェノールを総量として簡便に定量する方法を紹介する。

ポリフェノールの総量の検査方法として一般的に用いられているものにフォーリン・チオカルト(Folin-Ciocalteu)法とフォーリン・デニス(Folin-Denis)法がある。いずれもフォーリン試薬(フェノール試薬)を用いる吸光光度法で、フォーリン・チオカルト法は茶葉や茶飲料のポリフェノール総量の検査方法としてISO法に採用されており、食品の種類により操作中に濁りを生じる等の妨害が比較的少ない為、広範囲の食品に適用できるとされている。フォーリン・デニス法はワインや蒸留酒のタンニンの検査方法としてAOAC法に採用されており、食品の種類によっては操作中に濁りが生じ、妨害を受けることがあるため適用範囲がある程度制限されている。

「日本食品標準成分表 2015年版(七訂)分析マニュアル」では、ポリフェノールの検査方法としてフォーリン・チオカルト法(適用範囲:チョコレート類、ココア)が採用されており、タンニンの検査方法として酒石酸鉄吸光光度法(適用範囲:緑茶類)、フォーリン・デニス法(適用範囲:発酵茶類、コーヒー)が採用されている。

1)フォーリン・チオカルト法

フォーリン試薬(フォーリン・チオカルト、フェノール試薬)がフェノール性水酸基により還元されて青色に呈色することを利用し、765 nmの吸光度を測定し、定量する方法である。

緑茶、発酵茶(紅茶、烏龍茶など)、ワイン、コーヒー、ココア、野菜、果実などポリフェノールを含むすべての食品に適用できる。

2)フォーリン・デニス法

アルカリ性条件下におけるフェノール性水酸基の還元力を利用して、フォーリン試薬(フォーリン・デニス試薬)中のモリブデン酸の還元で生じる青色を725 - 760 nmの吸光度を測定し、定量する方法である。

緑茶、発酵茶(紅茶、烏龍茶など)、コーヒー及びこれらの浸出液に適用でき、フォーリン・チオカルト法と同様、前述以外の食品のポリフェノール総量の検査方法として用いられることもある。

なお、フォーリン・チオカルト法及びフォーリン・デニス法については、フェノール性水酸基の還元性を利用する方法なので、試料中に還元剤として働く成分が含まれる場合は正の誤差、酸化剤として働く成分が含まれる場合は、負の誤差として測り込まれる。食品の場合、問題となるのは、ビタミンC(アスコルビン酸)を含有する試料である。直接溶解抽出した場合はビタミンCも含んだ高い結果が得られる。補正法には、ビタミンC標準品を測定して検量線を作成し、HPLC法により測定した試料中のビタミンC濃度から、相当する吸光度を差し引く方法などがある。

3)酒石酸鉄吸光光度法

フェノール性水酸基が鉄イオンと定量的に反応して錯体を形成し、青色を呈するのを利用し比色定量する方法である。

カテキンまたはロイコアントシアン構造を含むタンニン様物質が主体となっている試料であれば、緑茶以外の食品にも適用可能と考えられる。ただし、タンニン様物質それぞれの種類によって呈色度が異なることから、検量線作成用標準物質に何を選ぶかで得られる結果が異なることに留意する必要がある。

3.まとめ

今回紹介したポリフェノールは、栄養表示基準に定められている成分ではないが、品質管理や機能性評価の観点において、重要な指標の一つと考えられる。食品や飲料中のポリフェノール含量をポリフェノール総量として定量することで、適切な品質管理、機能性評価にお役立ていただきたい。

参考文献

1)
新・食品分析法 [Ⅱ] (光琳)
2)
日本食品標準成分表 2015年版(七訂)分析マニュアル (文部科学省)
3)
日本食品標準成分表 2015年版(七訂)分析マニュアル・解説 (建帛社)