クロラムフェニコールは、広域の抗菌スペクトルを持つ抗生物質であり、動物用医薬品として家畜の病気の予防や治療のために使用される。クロラムフェニコールは遺伝毒性を有すると考えられており、発がん性を有する可能性が否定できないことから、ポジティブリスト制度導入の際に、その基準値は「不検出」として設定された。不検出基準は、その物質の発がん性や毒性により閾値が設定できないことから、「食品に含有してはならない」とされている。
ポジティブリスト制度導入時の規制対象物質は「クロラムフェニコール」であったが、動物実験によりクロラムフェニコールグルクロン酸抱合体(以下、グルクロン酸抱合体とする)が生体内で加水分解され、クロラムフェニコールが生成することが確認された。そのため、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会(平成26年7月31日)にて、新たにグルクロン酸抱合体が規制対象物質に追加された。規制対象物質の変更に伴い、図1に示すクロラムフェニコール、及びグルクロン酸抱合体を分析可能な試験法が検討され、平成29年2月23日にクロラムフェニコール試験法(告示試験法)が改正された。
クロラムフェニコール試験法について、従来の試験法との変更点、及び試験法の注意点について紹介する。