サルモネラ属菌は腸内細菌科に分類される細菌で、感染型食中毒を起こすことが知られており、食品衛生上、最も重要な細菌の一種である。令和4年の月別病因物質別食中毒発生状況によると、細菌の区分において事件数はカンピロバクタージェジュニ・コリに続いて2位(22件)、患者数はウェルシュ菌、カンピロバクタージェジュニ・コリに続いて3位(698人)である。食中毒の主な媒介食品は食肉・卵・乳など畜産食品を中心に、魚類・野菜・鶏卵加工品など広範囲にわたる。
国内ではサルモネラ属菌の試験法のひとつとして、平成27年7月29日付け厚生労働省通知「食安発0729号第4号」(別添1)サルモネラ属菌試験法が知られている(2018年7月号豆知識)。この通知法は国際整合性を図る観点から、国立医薬品食品衛生研究所における試験法の検討結果をもとに作成されている。今回は通知法のもととなった試験法ISO 6579-1サルモネラ属菌試験法について、使用培地の違いを中心に紹介する。