「食品表示基準について(平成27年3月30日消食表第139号)別添 栄養成分の分析方法等」に記載されているたんぱく質の分析方法について解説する。
食品中のたんぱく質の定量方法では、全窒素を定量し、それに一定の係数(窒素・たんぱく質換算係数)を乗じたものをたんぱく質量とする窒素定量換算法が示されている。窒素・たんぱく質換算係数は、食品の種類によって構成するアミノ酸が異なるため、それぞれに応じたものを用いる必要がある(表1)。また、表1に記載されていない食品に関しては、通常たんぱく質の窒素含量が約16%であることから、一般的には換算係数6.25(100/16)を用いる(詳細は、上記通知を参照いただきたい)。
窒素定量換算法としては、ケルダール法と燃焼法の2法がある。
ケルダール法は、まず試料に分解促進剤と濃硫酸を添加し加熱分解を行い試料中の窒素を硫酸水素アンモニウムに変換する。その後、この分解液に水酸化ナトリウムを加えアルカリ性にし、遊離したアンモニアを水蒸気蒸留してホウ酸溶液で捕集する。得られた蒸留液を硫酸で滴定し、滴定に要した硫酸の量から全窒素量を求める方法である
次に燃焼法は、試料を純酸素気流中で完全燃焼する。燃焼によって生じた燃焼ガスから妨害となるダストや水分、二酸化炭素を除去し、銅が詰められた還元管を通って窒素酸化物NOxから還元された窒素N?を熱伝導検出器にて検出する方法である。
燃焼法はケルダール法と比べて、濃硫酸のような危険な試薬を使用しないため安全であり、かつ、ドラフト等の大型設備を必要としないこと、短時間で測定できることが利点である。しかし少量の試料での分析となるため試料の均質化が重要となる。ケルダール法及び燃焼法の分析フローチャートを図1に示す。