フロニカミドは農産物及びその加工品と畜水産物において、厚生労働省より通知試験法が施行されている。3)
フロニカミドの分析対象化合物とその算出方法は、以下のように定められている。
フロニカミドとは、農産物及びその加工品にあってはフロニカミド、代謝物C【N-(4-トリフルオロメチルニコチノイル)グリシン】(以下「TFNG」という。)及び代謝物E【4-トリフルオロメチルニコチン酸】(以下「TFNA」という。)をフロニカミドに換算したものの和とする。その際、フロニカミド(TFNG及びTFNAを含む。)の含量(ppm)=フロニカミド+TFNG×0.92+TFNA×1.20としてフロニカミド含量を算出する。
また、畜産物にあってはフロニカミド、代謝物D【4-トリフルオロメチルニコチンアミド】(以下「TFNA-AM」という。)及び代謝物E「TFNA」をフロニカミドに換算したものの和とする。その際、フロニカミド(TFNA及びTFNA-AMを含む。)の含量(ppm)=フロニカミド+TFNA×1.20+TFNA-AM×1.21としてフロニカミド含量を算出する。
次にフロニカミド試験法の詳細を紹介する。
農産物においては、均質化した検体を採取し、乾燥物では適宜水を加え膨潤させた後、メタノールを加え抽出を行う。抽出液の一部を分取し、溶媒除去を行った後、1%ギ酸へ溶解する。スチレンジビニルベンゼン共重合体ミニカラムに、得られた溶液を注入し、流出液は廃棄する。さらに、1%ギ酸及びギ酸、水及びメタノール(1:90:10)混液を順次注入し各流出液は廃棄する。その後、カラムの下部にグラファイトカーボンミニカラムを接続し、ギ酸、水及びメタノール(1:30:70)混液を注入し、溶出液を採取する。スチレンジビニルベンゼン共重合体ミニカラムを除去した後、グラファイトカーボンミニカラムへギ酸及びメタノール(1:99)混液を注入し、溶出液を採取し、先の溶出液と合わせる。溶媒除去した後、アセトニトリル及び水(1:9)混液に溶解し、試験溶液とする。茶では、より夾雑成分の影響を受けるため、シリカゲルを用いた順相条件にて精製し、溶出液をフロニカミド画分と代謝物画分に分けて採取し測定する。
測定は、果実及び野菜の場合には、カラムはオクタデシルシリル化シリカゲル、移動相は、アセトニトリル、酢酸及び水の混液を用いて濃度勾配を設定して測定する。種実及び茶の場合には、カラムは多孔性グラファイトカーボン、移動相は、アセトニトリル、ギ酸及び水の混液を用いて濃度勾配を設定して測定する。測定機器は、いずれも液体クロマトグラフ質量分析計にて行う。
畜産物においては、含水アセトニトリルを用いて抽出するとともに、n-ヘキサンを用いて洗浄を行う。含水アセトニトリル層を定容分取し、10%塩化ナトリウムとリン酸を加え、酢酸エチルを用いて転溶を行う。溶媒を除去した後、酢酸エチル及びn-ヘキサン混液に溶解して得られた溶液についてシリカゲルミニカラムを用いて精製を行う。溶媒除去した後、アセトニトリル及び水(1:9)混液に溶解し、試験溶液とする。
測定は果実及び野菜と同様に、液体クロマトグラフ質量分析計にて行う。
食品によっては、試料由来の妨害ピークが検出する場合や、イオン化抑制と思われる現象による回収率の低下が報告されているため、必要に応じて測定条件の変更を行う。