計量法(平成4年5月20日法律第51号)は、取引や証明に用いる単位や計量器などについて定めている。この法律は、適正かつ合理的な計量制度を確立することにより、経済の発展や、国民生活の安定・消費者利益の保護など文化の向上に寄与している。
計量法の体系は、特定計量器を取引・証明に用いる場合に検定を受ける義務、指定検定機関による計量器の検定制度、製造・修理・販売事業者の届出制度、計量士制度などから主に成り立っている。
一般財団法人 食品分析開発センターSUNATEC
第一理化学検査室
計量法(平成4年5月20日法律第51号)は、取引や証明に用いる単位や計量器などについて定めている。この法律は、適正かつ合理的な計量制度を確立することにより、経済の発展や、国民生活の安定・消費者利益の保護など文化の向上に寄与している。
計量法の体系は、特定計量器を取引・証明に用いる場合に検定を受ける義務、指定検定機関による計量器の検定制度、製造・修理・販売事業者の届出制度、計量士制度などから主に成り立っている。
pHメーター用ガラス電極は、計量法において「ガラス電極式水素イオン濃度検出器」と呼ばれる特定計量器のひとつである。「特定計量器」とは、取引若しくは証明における計量に使用され、又は主として一般消費者の生活の用に供される計量器のうち、適正な計量の実施を確保するためにその構造又は器差に係る基準を定める必要があるものとして政令で定めるものをいう1)。
特定計量器を用いて取引・証明をする場合は、検定証印又は基準適合証印が付された特定計量器を使用しなければならない。また、特定計量器の種類によっては、検定等の有効期限が定められており、この期限内のものを使用しなくてはならない(計量法第16条1項)。なお、特定計量器であっても取引・証明に用いられないものについては、検定証印等は不要とされている。
表1 有効期限のある特定計量器(計量法施行令別表第三)
特定計量器 | 有効期限 | |
一 質量計 | ||
イ 自動はかり(ロに掲げるものを除く。) | 二年 | |
ロ 法第百二十七条第一項の指定を受けた者が当該適正計量管理事業所において使用する自動はかり | 六年 | |
二 積算体積計 | ||
イ 水道メーター | 八年 | |
ロ 温水メーター | 八年 | |
ハ 燃料油メーター(第四十条第三号に掲げるものを除く。 (1)自動車の燃料タンク等に燃料油を充てんするための機構を有するものであって、給油取扱所に設置するもの (2)(1)に掲げるもの以外のもの |
(1)七年
(2)五年 |
|
ニ 液化石油ガスメーター | 四年 | |
ホ ガスメーター (1)計ることができるガスの総発熱量が一立方メートルにつき九十メガジュール未満であって、使用最大流量が十六立方メートル毎時以下のもの(前金装置を有するものを除く。) (2)計ることができるガスの総発熱量が一立方メートルにつき九十メガジュール以上であって、使用最大流量が六立方メートル毎時以下のもの(前金装置を有するものを除く。) (3)(1)または(2)に掲げるもの以外のもの |
(1)十年
(2)十年
(3)十年 |
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三 積算熱量計 | 八年 | |
四 最大需要電力計 | ||
イ 電子式のもの | 七年 | |
ロ イに掲げるもの以外のもの | 五年 | |
五 電力量計 | ||
イ 定格電圧が三百ボルト以下の電力量計(変成器とともに使用されるもの及びロ(2)に掲げるものを除く。) | 十年 | |
ロ 定格電圧が三百ボルト以下の電力量計のうち、次に掲げるもの (1)定格一次電流が百二十アンペア以下の変流器とともに使用されるもの(定格一次電圧が三百ボルトを超える変圧器とともに使用されるものを除く。) (2)定格電流が二十アンペア又は六十アンペアのもの(電子式のものを除く。) (3)電子式のもの(イ及び(1)に掲げるものを除く。) |
七年 | |
ハ イ又はロに掲げるもの以外のもの | 五年 | |
六 無効電力量計 | ||
イ 電子式のもの | 七年 | |
ロ イに掲げるもの以外のもの | 五年 | |
七 照度計 | 二年 | |
八 騒音計 | 五年 | |
九 振動レベル計 | 六年 | |
十 濃度計 | ||
イ ガラス電極式水素イオン濃度検出器 | 二年 | |
ロ ガラス電極式水素イオン濃度指示計 | 六年 | |
ハ イ又はロに掲げるもの及び酒精度浮ひょう以外のもの | 八年 |
「ガラス電極式水素イオン濃度検出器」の検定は、特定計量器ごとに定められた特定計量器検定検査規則に沿って実施され、その有効期限は2年である。pHメーター用ガラス電極の寿命は一般的に半年から1年程度がメーカー推奨とされているが、使用状況やメンテナンス(電極の乾燥を防ぐ、電極の洗浄など)次第ではそれよりも長く使用することは可能である。しかし、その場合でも、取引・証明に用いられるものは2年毎に検定を受けなければならない。
本稿では、計量法におけるpHメーター用ガラス電極の位置付けや、有効期限のある特定計量器として必要とされる検定について紹介した。
普段から食品の検査や品質管理を行っている方であれば、精度の高いpH測定を行うためには国家計量標準にトレーサブルな標準液で校正すること、校正時の感度が90%以上で不斉電位が±30mV以内であること2)、電極内部液の液量や交換頻度など、ガラス電極の特性や正しい使用方法について聞いたことのある方は多いと思われる。しかし、そのような技術的な知識だけではなく法令に則った対応が求められていることも知っていただければ幸いである。
※pHメーターの本体に相当するガラス電極式水素イオン濃度指示計については、取引・証明に用いる場合には計量法により6年毎に検定を受ける必要がある。さらに、環境計量事業者がこれを計量証明に用いる場合には、定期的に計量証明検査を受ける必要がある。