分岐鎖アミノ酸(BCAA)について

一般財団法人 食品分析開発センターSUNATEC

第三理化学検査室

【BCAAとは】

BCAAは、バリン、ロイシン、イソロイシンの3種類のアミノ酸の総称である。これらは構造式(図1参照)に「分岐鎖」を有しているため「分岐鎖アミノ酸(Branched-Chain Amino Acid」と呼ばれ、略してBCAAと表記される。

図1:構造式

これらは体内で合成できない必須アミノ酸であり、食事からの摂取が必要である。BCAAは主に肉類(鶏肉、牛肉)、魚類(まぐろ、かつお)、卵、大豆製品(納豆、油揚げ)、乳製品(チーズ、牛乳)などに多く含まれている。また、後述するような生理機能が報告されており、機能性表示食品の関与成分として利用されるなど、注目されている栄養素である。機能性表示食品とは、企業や生産者の責任において科学的根拠に基づいた機能性を消費者庁長官に届け出ることで、パッケージ等に表示可能な食品である1)。この制度は近年急速に普及しており、市場規模も拡大している。

【BCAAの主な効果】

BCAAは、運動による筋肉の疲労感軽減などに寄与する成分として知られており、機能性表示食品の関与成分としても利用されている。以下に、BCAAを含む機能性表示食品における代表的な表示例を示す。

 

届出表示例:「本品にはバリン、ロイシン、イソロイシン(BCAA)が含まれます。BCAAには運動後の一時的なからだの疲労感を緩和する機能があることが報告されています。」

 

また、ロイシンに焦点を当てた機能性表示食品では、「加齢により低下する筋肉量の維持に役立つ」といった表示も認められており、高齢者のサルコペニア対策としても注目されている。

【BCAAの分析方法】

食品中に単体で存在するアミノ酸は一般的に遊離アミノ酸と呼ばれる。機能性関与成分として添加されたBCAAを定量する場合は、食品中に遊離アミノ酸として存在するBCAAが分析対象となる。

遊離アミノ酸の分析フローを図2に示す。BCAAはアミノ酸自動分析計を用いて、他の数十種類のアミノ酸と同時に一斉分析が可能である。均一に処理した検体を秤量し、水またはエタノールにて抽出後、必要に応じて除たんぱく処理を行い、アミノ酸自動分析計にて測定する。

図2. 遊離アミノ酸の分析フローチャート

なお、たんぱく質の構成成分としてのアミノ酸量を調べる場合には、加水分解によりたんぱく質をアミノ酸の状態に変換した後、分析を行う必要がある。図3にアミノ酸自動分析計を用いて分析したアミノ酸混合標準溶液におけるBCAAのピーク部分を拡大したクロマトグラムを示す。

図3. バリン、ロイシン、イソロイシンのクロマトグラム

【おわりに】

BCAAは、運動による疲労感軽減などの機能性が期待される成分であり、近年多くの研究報告がなされている。これに伴い、BCAAを関与成分とした機能性表示食品も多数販売されている。

私たちはバランスの良い食生活を心掛けることを基本としつつ、目的に応じて、機能性成分を含む食品を上手に取り入れていくことが望ましいだろう。

参考文献

1)
消費者庁HP 機能性表示食品について
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims