水分活性について

一般財団法人 食品分析開発センターSUNATEC

第一理化学検査室

1.はじめに

食品中に存在する水分を大きく分けると、食品成分と結合、吸着した状態の「結合水」と、遊離した状態で温度や湿度変化により比較的自由に移動・蒸発しやすい「自由水」がある。微生物の生育・増殖には自由水が必要とされており、水分活性(Water Activity, Aw)は、同一温度における食品中の水の蒸気圧と、純水の水蒸気圧との比で表される指標である。一般に食品の保存性を高めるために、凍結、乾燥、塩蔵、糖蔵といった処理が行われる。凍結は食品中の水分を氷として固定することで微生物が利用できる水を制限する。一方、乾燥、塩蔵および糖蔵は自由水を減少させたり、水を利用しにくい状態にしたりすることで水分活性を低下させる。つまり、微生物の生育・増殖には総水分量だけでなく、水分の存在状態を考えることが重要である。微生物は水分活性が特定の値以下では生育できないことが知られており、微生物の種類によって生育下限が異なる。表1に、主な食品の水分活性値と微生物の生育下限を示す。

 

食品 水分(%) 水分活性 微生物の生育下限
野菜 90以上 0.98~0.99  
魚介類 70~85 0.98~0.99  
食肉類 70以上 0.97~0.98  
卵 75 0.97  
パン 35 0.93  
    0.91 細菌 
ハム・ソーセージ 56~65 0.90  
    0.88 酵母 
乾燥果実 15~21 0.72~0.82  
    0.80 カビ 
    0.75  好塩性菌
ケーキ 25 0.74  
    0.65 乾性カビ
小麦粉 14 0.61  
チョコレート 1 0.32  

表1 主な食品の水分活性値と微生物の生育下限(目安)1)
(食品衛生検査指針 理化学編 2015より一部抜粋)

2.水分活性の測定原理

食品を密封容器に入れたとき、食品と容器内の空気との間で水分の移動が生じ、やがて平衡状態に達する。このときの食品と平衡状態にある空気の相対湿度を100で割った値が水分活性である。水分活性は次式で表される。

 

Aw = P/P0 = RH/100
P:一定温度下の食品の蒸気圧
P0:一定温度下の純水の蒸気圧
RH:相対湿度 (relative humidity)

 

Pが純水の場合、PとP0は等しく、その水分活性は1となる。水に可溶性物質が溶けると、水の一部が物質と結合するため蒸気圧は低下する。そのため、食品の蒸気圧は一般に純水よりも低くなり、水分活性は1以下となる。一方で水を全く含まない食品では理論上の水分活性は0となる2)。

 

3.水分活性の測定方法

食肉製品における水分活性の測定方法としては、厚生省生活衛生局長通知(平成5年3月17日付け 衛乳第54号)3)に、電気抵抗式機器による方法とコンウエイユニット法が掲載されている。

 

(1) 電気抵抗式機器による方法

水分活性測定装置の検出器内空間容積の3%以上の容積となるように試料を適当量採取した後、アルミ箔皿または開放型平皿に乗せる。速やかに検出器に入れて密閉し、25±2℃の条件下で測定を開始する。10分間隔で数値を記録し、数値の変動が認められない時点を検出器内の水蒸気圧が平衡状態に達したとみなし、そのときの数値を水分活性とする。なお、測定前には、水分活性が既知である標準塩(塩化ナトリウムなどの塩類の飽和溶液)を標準として校正を行うこととされている。

 

(2) コンウエイユニット法

試料約1gをあらかじめ重量を測定したアルミ箔に入れて精秤する。測定しようとする試料よりも高い水分活性値を示す塩類の飽和溶液A、および試料よりも低い水分活性値を示す塩類の飽和溶液Bを準備する。試料を速やかにコンウエイユニット(以下ユニットという)の内室に入れ、外室には塩類の飽和溶液A、Bを別々のユニットに3~4mL入れたのち、ユニットのすり合わせ部にワセリンを塗り、蓋をする。クリップで気密を保つようにして25±2℃の条件下で2±0.5時間静置する。静置後の試料の重量を精秤し、あらかじめ測定した重量との増減を求め、次式により水分活性を算出する。

 

水分活性=(bx - ay)/(x - y)
a:飽和溶液Aの水分活性の値
b:飽和溶液Bの水分活性の値
x:Aを使用した際の試料の重量増加量
y:Bを使用した際の試料の重量減少量

 

なお、(2)により行うことができる試料は、アルコール等揮発性物質の影響を受けない場合に限るとされている。これは、コンウエイユニット法が試料の重量変化から水分活性を求める方法であり、揮発性成分を含む試料では測定値に影響を生じる可能性があるためである。そのような試料では、一般に電気抵抗式機器による方法が選択される。

4.食肉製品の水分活性に関する基準

食品、添加物等の規格基準では、食肉製品の種類や条件に応じて、水分活性などを考慮した保存基準4)が定められている。水分活性は、微生物の増殖を抑制するための管理指標の一つとして活用されており、非加熱食肉製品の一部では、pHと水分活性を組み合わせた基準も設けられている。

5.おわりに

食品の保存性を評価するためには、微生物の生育・増殖や品質変化に影響する要因を適切に管理することが重要である。水分活性は、微生物の生育・増殖や食品の保存性と深く関係しており、食品の安全性や品質の管理、さらには保存条件や賞味期限を検討する上でも有用な指標の一つである。

参考文献

1)
食品衛生検査指針 理化学編 2015(公益社団法人 日本食品衛生協会)
2)
衛生試験法・注解 2020(公益社団法人 日本薬学会)
3)
厚生省生活衛生局長通知「食品衛生法施行規則及び食品、添加物等の規格基準の一部改正について」(平成5年3月17日付け 衛乳第54号)
4)
消費者庁 食品別の規格基準について D.各条 食肉製品
https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/other/category