異物混入削減のための取り組み(2)
-異物管理の考え方について- 

一般財団法人 食品分析開発センターSUNATEC

FQS(Food Quality Solution)室

はじめに

前号(2022年6月号)の豆知識では「異物混入削減のための取り組み(1)」として、異物の混入を未然に防ぐためには、HACCPを活用し、健康被害につながらないような異物についても危害要因として抽出し、管理する必要があること、製造作業に携わる全ての従業員の方々が異物混入を未然に防止するための考え方を理解することの必要性を説明しました。

2回目の本稿では、異物混入リスクを低減するための3つの考え方、①異物混入リスク対策、②除去工程管理、③異常察知について説明します。

1.異物混入リスク対策

異物混入リスク対策とは、健康被害を引き起こす可能性がある異物の混入リスクだけでなく、健康被害につながらないような異物の混入リスクも含めて漏れなく抽出し、それぞれに対して異物の混入を未然に防止するために必要な対策を実施することです。リスク対策が原因に対して適切ではない場合は、異物の混入は発生し続けてしまいます。

異物混入リスクを漏れなく抽出するためには、発生要因を整理することが重要です。異物の発生元は原材料由来なのか、工程由来なのか、また要因は直接的要因(原材料、包材、設備・器具など)なのか、間接的要因(人、ユーティリティー、清掃・洗浄、工場環境など)なのか、図1に示すように系統的に整理することができると、どのような混入経路にリスクがあるのか把握し、未然防止活動に取り組むことができます。

図1 異物混入の発生要因

異物の混入の発生要因となりやすいものとして、回転など駆動する設備、樹脂製品など劣化しやすい備品が多い設備が挙げられます(図2)。回転など駆動する設備は、軸ズレにより設備自体が削れることで異物が発生します。また、パッキンなどの樹脂製品は劣化や破損し混入を引き起こすことがあります。

異物発生時に検査でその物質を特定することにより、製造工程のどこを優先的に確認すべきかの対応がしやすくなります。異物混入リスク対策の考え方を実践することで、現場従業員の方々が混入経路を把握し、日頃から何由来の異物混入の可能性があるのか、現場でリスクを予測できるようになります。

図2 設備・器具等由来の異物混入リスクの事例

2.除去工程管理

除去工程管理とは、製造する製品に応じて、適切な除去工程を設定し、その工程が能力を十分に発揮できるように維持することで異物混入リスクを低減し、さらに、除去工程で排除した異物が再度製造工程内に混入しないように管理することです。

原材料や製品に含まれている異物を除去する設備には、金属検出機、X線検査機やマグネットセパレーターなどがあります。それらが設置された工程は、HACCPの重要管理点(CCP)として管理される場合が多くあります。適切に異物を取り除くためには、除去設備が製品の特性に合わせて設置され、その設備が持つ本来の異物除去能力が発揮されなければなりません。

異物を十分に除去できる状態を維持するための注意点として設置状況や使用条件が挙げられます。図3に粉体製造工程におけるマグネットセパレーターを設置した例を示します。図3左の設置不良例では、設置時に製造設備とマグネットセパレーターに隙間ができ、磁性を帯びた金属が適切に除去できません。そのため、図3右のように設備の形に合わせて磁力の高い場所に粉体が接触するよう設置しなければなりません。

さらに、マグネットセパレーターを構成しているマグネット棒自体が、異物を除去できる能力が十分あるのかを定期的に確認し、設置状況や使用条件が適切かを管理する必要があります。そのためにも、マグネット棒の構造を理解し、磁力の弱い部分と強い部分があることを認識しておくことも重要です(図4)。

図3 マグネットセパレーターの設置例

図4 マグネット棒の構造

異物を見逃さないためには、製品に応じた適切な異物を除去する設備を設置し、設置状況や使用条件を理解し、適切な除去能力があることを定期的に確認し、さらに除去した異物を再混入させないことが重要です。

3.異常察知

異常察知とは、先に説明した異物混入リスク対策で抽出したリスク箇所や、除去工程管理で除去された異物を特定した結果から異常を察知することです。異常を異常と判断するための判断基準を明確にしておくことも必要です。

異物混入リスク対策では、設備や器具の日常点検や稼働時の点検で異常がないかを確認します。除去工程で発見された異物が通常認められないような大きさ、数量であった場合、重大な異物混入の可能性があると判断できます。異常と判断した時には、直ちに報告し、発生状況に応じた対応を実施できる体制を構築しておかなければなりません。また、発見した異物は区分し、製造工程内に再混入しないように管理しておきます。

まとめ

異物混入リスクを未然に防止するためには、現場の従業員の方々が、①異物混入リスク対策、②除去工程管理、③異常察知の考え方を基に製造工程の実態に沿った管理体制を構築しなければなりません。そのためにも、この考え方を理解し、意識を高める必要があります。

次号では、現場の従業員が異物管理の考え方の理解を深めるための教育手法について紹介します。