農林水産省と環境省により制定されている「愛玩動物用飼料等の検査法」に亜硝酸ナトリウムの検査法が示されている。液体クロマトグラフ法及び吸光光度法が示されているが、本稿では吸光光度法について紹介する。
<吸光光度法>
吸光光度法は、試料から弱塩基性条件下で亜硝酸塩を抽出する。次いで、酸性条件下でスルファニルアミドを亜硝酸イオンによりジアゾ化し、ナフチルエチレンジアミンとの結合によって生じるアゾ色素の赤紫色を吸光度で測定することにより、試料中の亜硝酸塩を定量する方法である。検査法のフローを図1に、標準液の発色時の様子を図2に示す。
1) 抽出
試料にpHを9.0に調整した酢酸アンモニウム緩衝液を加え、試料中の酵素作用を停止するため80℃で10分間静置する。次に硫酸亜鉛溶液を加え、80℃で5分間静置する。この操作でタンパク質が硫酸亜鉛とコロイド性沈殿を形成する。そして氷中で5分間静置し、水酸化ナトリウム溶液を加えて10分間静置後、酢酸アンモニウム緩衝液で定容し、タンパク質等の沈殿物をろ過して試料溶液を得る。ろ液が着色していた場合は活性炭素を加えてろ過を行う。
2) 測定
試料溶液にスルファニルアミド溶液とナフチルエチレンジアミン溶液を加えて15分間静置する。活性炭素を使用した場合は、スルファニルアミド溶液の代わりに塩酸を用いる。吸光度を測定し、検量線を作成して試料中の亜硝酸ナトリウム量を算出する。
3) 検査法の留意事項
試料中の色素やタンパク質に結合した亜硝酸は測定することができない。また、水酸化ナトリウム試薬には微量の亜硝酸ナトリウムが含まれる場合があるため、試薬量を一定にし、必ず空試験を行う必要がある。
呈色試薬を加えた際、試料中の夾雑成分により懸濁することがあるが、この場合は反応液をろ過する必要がある。