ペットフードに含まれる亜硝酸ナトリウムについて

一般財団法人 食品分析開発センターSUNATEC

第一理化学検査室

1. はじめに

亜硝酸ナトリウムは発色剤として食品に使用されることがある添加物であるが、愛がん動物用飼料(ペットフード)にも使用されることがある。発色剤とは、他の成分と反応して安定な色素を生成したり、もともと含まれている色素を安定化させたりする化合物である。日本では平成20年にペットフードの安全性の確保を目的とし、犬及び猫用のペットフードを対象に「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」(ペットフード安全法)が制定された。亜硝酸ナトリウムはペットフード安全法の成分規格において含有量の基準値が定められている。本稿では、ペットフードにおける亜硝酸ナトリウムの基準値と亜硝酸ナトリウムの検査法について紹介する。

2. 亜硝酸ナトリウムの基準値

ペットフード中の亜硝酸ナトリウムの基準値は100 g/t以下である。ただし、これは水分含有量が10%の場合であり、仮に水分含有量が55%の場合だと基準値は50 g/t以下となるため注意が必要である。ペットフード安全法では他にもBHAやBHTなどの添加物、グリホサートなどの農薬、カドミウムや鉛などの汚染物質も含有量の基準値が定められているが、みな同様に水分含有量が10%の場合であり、異なる場合は換算する必要がある。

3. 亜硝酸ナトリウムの検査法

農林水産省と環境省により制定されている「愛玩動物用飼料等の検査法」に亜硝酸ナトリウムの検査法が示されている。液体クロマトグラフ法及び吸光光度法が示されているが、本稿では吸光光度法について紹介する。

<吸光光度法>

吸光光度法は、試料から弱塩基性条件下で亜硝酸塩を抽出する。次いで、酸性条件下でスルファニルアミドを亜硝酸イオンによりジアゾ化し、ナフチルエチレンジアミンとの結合によって生じるアゾ色素の赤紫色を吸光度で測定することにより、試料中の亜硝酸塩を定量する方法である。検査法のフローを図1に、標準液の発色時の様子を図2に示す。

1) 抽出

試料にpHを9.0に調整した酢酸アンモニウム緩衝液を加え、試料中の酵素作用を停止するため80℃で10分間静置する。次に硫酸亜鉛溶液を加え、80℃で5分間静置する。この操作でタンパク質が硫酸亜鉛とコロイド性沈殿を形成する。そして氷中で5分間静置し、水酸化ナトリウム溶液を加えて10分間静置後、酢酸アンモニウム緩衝液で定容し、タンパク質等の沈殿物をろ過して試料溶液を得る。ろ液が着色していた場合は活性炭素を加えてろ過を行う。

2) 測定

試料溶液にスルファニルアミド溶液とナフチルエチレンジアミン溶液を加えて15分間静置する。活性炭素を使用した場合は、スルファニルアミド溶液の代わりに塩酸を用いる。吸光度を測定し、検量線を作成して試料中の亜硝酸ナトリウム量を算出する。

図1 検査法のフロー

 

図2 標準液の発色時の様子
左から0.05、0.10、0.25、0.50、1.00μg/mLに調製した標準液

3) 検査法の留意事項

試料中の色素やタンパク質に結合した亜硝酸は測定することができない。また、水酸化ナトリウム試薬には微量の亜硝酸ナトリウムが含まれる場合があるため、試薬量を一定にし、必ず空試験を行う必要がある。

呈色試薬を加えた際、試料中の夾雑成分により懸濁することがあるが、この場合は反応液をろ過する必要がある。

4.おわりに

本稿では亜硝酸ナトリウムの基準値と検査法を紹介した。亜硝酸ナトリウム量が基準値以内かどうかは、水分含有量を考慮した上で判断する必要がある。また微生物により、試料中の硝酸塩が亜硝酸塩に還元されて存在している場合がある。このような場合には、実際の添加量よりも多めに定量される可能性があるため注意が必要である。

参考文献

1)
厚生労働省監修:食品衛生検査指針 食品添加物編 2003, 日本食品衛生協会, 2003, p. 142-148
2)
日本薬学会編:衛生試験法・注解2020, 金原出版, 2020, p. 380-381
3)
環境省:「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=420AC0000000083 (2022年9月15日閲覧)
4)
環境省:「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」の基準規格等https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/petfood/standard.html (2022年9月15日閲覧)
5)
環境省:ペットフード安全法に関するQ&A
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/petfood/qa.html#Q2-1 (2022年9月15日閲覧)
6)
独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC):「愛玩動物用飼料等の検査法」第 7 章 添加物
4 亜硝酸ナトリウム
http://www.famic.go.jp/ffis/pet/sub4.html (2022年9月15日閲覧)