食品添加物は、食品の形状や色、味、品質を向上又は保持する等の目的で、多くの食品に使用されている。食品衛生法では、「添加物とは、食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する物」と定義されている。
今回は、日本で使用されている食品添加物について、関係する基準や規格等を紹介する。
一般財団法人 食品分析開発センターSUNATEC
第一理化学検査室
食品添加物は、食品の形状や色、味、品質を向上又は保持する等の目的で、多くの食品に使用されている。食品衛生法では、「添加物とは、食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する物」と定義されている。
今回は、日本で使用されている食品添加物について、関係する基準や規格等を紹介する。
日本では原則として、厚生労働大臣の指定を受けた食品添加物(指定添加物)のみ使用することができる。ただし例外として、指定添加物以外に、既存添加物、天然香料および一般飲食物添加物は、食品添加物としての使用が許可されている。
図1のように、国内で使用されている食品添加物は、食品衛生法に基づいて4種類に区分することができる。既存添加物は、国内での長い食経験から健康に影響がないと判断され、例外的に使用・販売が許可されている添加物である。天然香料は、動植物から得られる天然物質で、食品の着香の目的のみで使用される添加物であり、一般飲食添加物は、一般に食品として飲食に供されるもので添加物として使用されるものである。
指定添加物は、厚生労働省により、含量や成分に関する規格(成分規格)が定められている。一方で、既存添加物、天然香料および一般飲食物添加物は、成分規格がないものもあり、製造者が責任を持って品質を管理することになっている。ただし、既存添加物等の天然添加物の一部は、一社)日本食品添加物協会より「既存添加物自主規格」として規格が公表されている。
成分規格とは、当該の食品添加物について一定の品質を担保するものであり、純度や不純物の限度量等の規格、及びその試験方法が定められている。いわゆる食品添加物の規格試験は、成分規格に基づいて実施される試験であり、当該の規格に適合しない場合は、国内において食品添加物として使用することができない。
食品添加物は、食品衛生法により、製造基準、保存基準および使用基準が定められている。製造基準とは製造および加工の際の基準であり、保存基準とは保存方法の基準である。使用基準は、食品添加物が使用できる食品の種類や使用量の限度についての基準である。
また、食品安全委員会は食品添加物の安全性の評価を行っており、動物を用いた毒性試験等の科学的なデータに基づいて、各食品添加物の一日摂取許容量(ADI:Acceptable Daily Intake)を設定している。ADIとは、人が生涯その物質を毎日摂取し続けたとしても、健康へ悪影響がないと推定される1日あたりの摂取量である。この食品安全委員会の評価をもとに、厚生労働省は、日常の食事で摂取する食品添加物量がADIを下回るように使用基準を定めている。
食品に関する表示は、食品表示法第4条に基づき食品表示基準として定められている。食品表示法とは、食品衛生法、JAS法および健康増進法 の3法に基づく基準を統合したものである。食品表示基準に従い、食品に使用した食品添加物は、原則としてすべて表示しなければならず、食品表示基準に従った表示がされていない食品の販売は禁止されている。表示方法は、先に原材料、次いで食品添加物を使用した重量順に記載し、原則として物質名を表示するが、以下4つの例外がある。
なお、表示の省略が許可されているものとして、以下の3つがある。
以上のように、国内で使用される食品添加物は、厚生労働省により成分規格および使用基準が規定されており、一定の安全性と品質が確保されている。また、食品関連事業者は食品表示基準に従って表示を行った食品のみを販売することができ、消費者は食品中の食品添加物の有無について知ることができるようになっている。次回は食品添加物の規格試験について紹介する。
厚生労働省HP 食品添加物(2022年10月13日閲覧)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuten/index.html
消費者庁HP 食品添加物表示に関する情報 (2022年10月13日閲覧)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/food_additive/