食品中の残留農薬分析では、農産物や畜水産物、それらを原料とした加工食品に至るまでさまざまな食品を試料として分析が行われています。残留農薬分析では有機溶媒を用いて食品から農薬を抽出しますが、抽出液には多量の食品成分が含まれます。測定機器に注入する溶液に食品成分が多量に存在すると、分析結果が不良となる場合があるため、食品成分を除去する適切な精製が必要となります。しかしながら、食品の種類によって食品成分の特性は様々であり、色素成分の多いものから油脂成分の多いものまで多岐に渡るため、良好な分析結果を得るためには適切な精製法の選択が重要となります。残留農薬分析における精製法にはクロマトグラフィーを用いたものがあります1)。クロマトグラフィーは異なる性質を持つ物質を分離するのに適しています。残留農薬分析で使用するクロマトグラフィーには主にカラムクロマトグラフィーがあり、カラム充填剤の種類により、極性を指標とした分離や、分子量(分子サイズ)を指標とした分離があります。今回は分子量の大きさで物質を分離するゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)について紹介します。