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クロラムフェニコールは、広域の抗菌スペクトルを持つ抗生物質であり、動物用医薬品として家畜の病気の予防や治療のために使用される。クロラムフェニコールは遺伝毒性を有すると考えられており、発がん性を有する可能性が否定できないことから、ポジティブリスト制度導入の際に、その基準値は「不検出」として設定された。不検出基準は、その物質の発がん性や毒性により閾値が設定できないことから、「食品に含有してはならない」とされている。
サイクラミン酸(シクロヘキシルスルファミン酸)は合成甘味料として、日本では1956 年から用いられてきた。水に溶け熱に強く、砂糖の数十倍の甘味度を有し、砂糖に似た快い甘味、果実などのフレーバーとの相性がよいとされるこの甘味料は“チクロ”とよばれ、加工食品業界で特に重宝された。しかし、ラットに膀胱がんを発生する疑いがあるとのアメリカの報告[1]を受け、1969 年にはアメリカに次いで日本でも使用が禁止された。このとき行政はサイクラミン酸が使用されているすべての製品の回収を指示したため、食品業界は混乱をきたし、また、国民の添加物への関心を高めるきっかけになったともいわれる。一方で、中国、台湾、EU諸国では当時から現在に至るまで甘昧料としての使用が認められており、サイクラミン酸を使用した食品が日本に輸入される可能性がある。