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食品中の残留農薬分析は、食品ごとに検査部位が規定されている。残留基準値と比較する分析値は、規定された検査部位を試料として分析した値でなければならないため、検査部位の確認は非常に重要である。平成30年9月に残留農薬分析におけるカカオ豆の検査部位が改正された。本稿では、残留農薬分析におけるカカオ豆の検査部位について説明する。
食品の、いわゆる“異臭”といわれるにおいのひとつとして、かび様のにおい(かび臭)が挙げられる。かび臭の原因物質には様々なものがあるが、中でも、2,4,6-トリクロロアニソール(2,4,6-TCA)は、においの閾値(人がにおいを感じることのできる最小量)が非常に小さいため、異臭の原因物質になることが多い。過去に2,4,6-TCAを含む、ペンタクロロアニソールや2,3,4,6-テトラクロロアニソールなどのクロロアニソール類が、鶏小屋のおがくずに認められ、また鶏肉や卵の異臭を引き起こしていることが明らかにされた*1*2
大豆イソフラボンは、特に大豆の胚芽(胚軸)に多く含まれているフラボノイドの一種であり、その化学構造が女性ホルモン(エストロゲン)に似ているため、植物性エストロゲンとも呼ばれている。大豆に含まれるたんぱく質、ミネラル等とは異なり、ヒトの体に必須の栄養素とはされていないが、エストロゲン受容体(エストロゲンレセプター)に結合することから、種々の生体作用を発揮することが知られ、注目されている成分である。大豆イソフラボンは、大豆を使った加工食品のほとんどに含まれているが、原料の大豆の種類や食品の製造方法によって含有量は異なる。
ポリフェノールとは、分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物の総称で、5000種類以上あるといわれている。食品中のポリフェノールは、味や色、香りなどの嗜好性に関与する成分とされており、茶のカテキン類、チョコレートやココアのカカオポリフェノール、果実や野菜のアントシアニン系色素などが有名である。近年では生体内での抗酸化作用をはじめとした機能性に関与する成分として注目されている。
2015年4月に食品表示法が施行された。食品事業者にとって、食品表示法の施行に伴う大きな変化の1つが栄養成分表示の義務化である。がん・脳卒中・糖尿病などの食や運動不足に起因する生活習慣病の広がりや栄養成分表示自体の認知度の向上に伴う消費者意識の高まりから、国民の健康的な食生活を営むための基礎的なツールとして活用されることを目的として、栄養成分表示が義務化された。
昭和34年厚生省告示第370号「食品、添加物等の規格基準」の食肉製品のうち、非加熱食肉製品、特定加熱食肉製品及び加熱食肉製品(但し、加熱殺菌した後容器包装に入れたもの)、並びに食鳥卵(但し、鶏の液卵を殺菌したもの)の成分規格としてサルモネラ属菌の規格が設定されている。これまでサルモネラ属菌の試験法は、食肉製品については平成5年3月17日付け厚生省生活衛生局長通知「衛乳第54号」、食鳥卵(殺菌液卵)については平成10年11月25日付け厚生省生活衛生局長通知「生衛発第1674号」でそれぞれ定められていたが、平成27年7月29日付け厚生労働省通知「食安発0729号第4号」で黄色ブドウ球菌の試験法と合わせて改正された。
食品業界では、食品衛生法等におけるHACCP※ による衛生管理の制度化が進んでいる。制度化を含む食品衛生法等の一部を改正する法律案が提出され、2018年3月13日に閣議決定され、4月13日に参議院審議にて可決されており、衆議院審議を待つ状況である。
市場では多種多様な食品が開発製造され、理化学検査に用いるための試料調製において、通常の粉砕方法では均質化が困難な食品がある。今回は、そのような食品を均質化する方法の一つである凍結粉砕法について紹介する。